約 786,198 件
https://w.atwiki.jp/nolnol/pages/12004.html
矢 彗星の矢 (スイセイノヤ) 【光の矢】 性能 分類 価値 重量 特殊効果 攻撃力 光の矢 12 0.4 光弾・参 95 生産可能職 職業 技能 神主・巫女 破魔矢作成之ほ 材料 破魔矢作成之ほ参照 NPC売却価格:
https://w.atwiki.jp/aoari/pages/178.html
矢 彗星の矢 (スイセイノヤ) 【光の矢】 性能 分類 価値 重量 特殊効果 攻撃力 光の矢 12 0.4 光弾・参 95 生産可能職 職業 技能 神主・巫女 破魔矢作成之ほ 材料 破魔矢作成之ほ参照 NPC売却価格:
https://w.atwiki.jp/shinsen/pages/10982.html
矢 彗星の矢 (スイセイノヤ) 【光の矢】 性能 分類 価値 重量 特殊効果 攻撃力 光の矢 12 0.4 光弾・参 95 生産可能職 職業 技能 神主・巫女 破魔矢作成之ほ 材料 破魔矢作成之ほ参照 NPC売却価格:
https://w.atwiki.jp/umamusumeninaritai/pages/14.html
ウマ娘一覧 各々で追加してくださいませ。 現在登録済みウマ娘 54名 リンク 登録順 名前順 登録順 バラカドボナール オウカムーン 白毛三姉妹 セイヨウサツキ メジロエスキー メジロエスキモー メジロプログレス フラワリングタイム ライジョウドウ ルミアノーブル&ギフトプリームス ライクライム ラストダンサー シュウマツノカジツ カラレスミラージュ ラピッドホライゾン エノラ(工事中) アルケミー ライトニングホラー ミントクラウン スリーピースピネル スイセイレッカ ツキノミフネ ギャナポレプト ミノワクルマサト エキィウェフ ヨゾラギャウサル アドマイヤラプラス クアドラプルグロウ シリアスシリー アラシュパーパス キタサンアイドル ブルーラグーン ナックル スカイセンサー フライングフレア メメントヴィータ インバスレイズ ポストレター クロックワークス ギャラントクイーン(工事中) ヌーベルジェネシス(工事中。いつまで経っても終わりは見えない。) エースエンブレム(工事中) リアライズクラウン(工事中) ナースアサルト トキヲコエテ(基礎工事完了。時々更新あり) ゴルトヴァイザー(工事中) ジョワドグロワール(工事中) ホワイトヘヴン(工事中) フォーノワール(工事中) エニグマファイア(工事中) ソニックスティング(工事中...) 名前順 2人以上の場合は別途記載 行 名前 顔写真 ア行8名 アドマイヤラプラス アラシュパーパス アルケミー インバスレイズ エキィウェフ エニグマファイア エノラ エースエンブレム オウカムーン カ行7名 カラレスミラージュ キタサンアイドル ギャナポレプト ギャラントクイーン クアドラプルグロウ クロックワークス ゴルトヴァイザー サ行7名 シュウマツノカジツ ジョワドグロワール シリアスシリー スイセイレッカ スカイセンサー スリーピースピネル セイヨウサツキ タ行2名 ツキノミフネ トキヲコエテ ナ行3名 ナックル ナースアサルト ヌーベルジェネシス ハ行6名 バラカドボナール フォーノワール ブルーラグーン フライングフレア フラワリングタイム ポストレター マ行7名 ミノワクルマサト ミントクラウン メジロエスキー メジロエスキモー メジロプログレス メメントヴィータ ヤ行1名 ヨゾラギャウサル ラ行6名 ライクライム ライジョウドウ ライトニングホラー ラストダンサー ラピッドホライゾン リアライズクラウン ワヲン 複数名登録ページ 白毛三姉妹 キツネパレット パレットファンシー アノンパレット ルミアノーブル&ギフトプリームス ルミアノーブル ギフトプリームス
https://w.atwiki.jp/gods/pages/74022.html
セイジ(青児) セイセイの別名
https://w.atwiki.jp/otassya2/pages/10679.html
矢 彗星の矢 (スイセイノヤ) 【光の矢】 性能 分類 価値 重量 特殊効果 攻撃力 光の矢 12 0.4 光弾・参 95 生産可能職 職業 技能 神主・巫女 破魔矢作成之ほ 材料 破魔矢作成之ほ参照 NPC売却価格:
https://w.atwiki.jp/gods/pages/73876.html
コウガイセンセイ(洪涯先生) 道教に伝わる仙人。 元は役者。
https://w.atwiki.jp/umamusumeninaritai/pages/61.html
▽タグ一覧 SS スイセイレッカ 24/09/09 1つ追加しました。 最終更新:24/05/21 レイアウトを変更しました。経緯は折畳みに記載。 こんな大々的に書く事でもないけど一応。 現状では本編を継続して執筆するのは困難な気がしてます。というかもうエタりかけてるし なので、ワタシ自身のハードルを下げる為に、今後気楽な気持ちで雑に書くかもしれない単発SSをメインの方に据える事にします。 気が楽になったらキャラスト(旧本編)も更新するかもしれませんが、期待はしないでください 傲慢かもですが、もし楽しみにしてた方がいましたらごめんなさい [ 目次 ] 主要人物 コース概要富士スピードレース場 SS(雑多) 育成ストーリープロローグ メインストーリー サイドストーリー コメント欄 この物語はキャラ崩壊多めであり、 登場する人物・地名・団体名は 架空のものが一部含まれます。 ウマ娘の皆様は交通ルールを守り、 安全走行を心がけましょう。 主要人物 スイセイレッカ ・ オーナー 謎多き男性。若く整った顔立ち。富士スピードレース場のオーナーだが、トレセン学園にもよく姿を現す。 レッカとは数年の付き合いで、お互いに心を許した親戚のような関係。 ウマ娘の知識はそれなり程度に有するが、モータースポーツの知識の方が豊富。 ・ トレーナー 中性的。学園でのレッカのトレーニングを担当。 トレーニング状況の共有のため、オーナーともよく連絡する。 モータースポーツに関する知識はないが、蹄鉄やシューズなどの装備品の調整などでサポートする。 ・ 白銀の流星 スイセイレッカのウマソウルの一部。 時折レッカの夢に現れ、程よく蹂躙しつつも道を示す。 とにかく速い。ホントにウマ娘か?ってくらい速い。 ・ アンレシプロロード トレセン学園のウマ娘。富士スピードレース場の元常連。 トレセン学園でも着々と成果を上げているGⅠステイヤー。 「スイセイレッカに唯一勝てそうなウマ娘」と称されていたが、トレセン学園に合格したのをきっかけに来なくなっていた。 バ場適性 芝:A ダート:G 距離適性 短距離:D マイル:F 中距離:B 長距離:A 脚質適性 逃げ:A 先行:F 差し:C 追込:F コース概要 富士スピードレース場 スイセイレッカのホームコース。 実際のコース「富士スピードウェイ」を大体そのまま縮小したようなコースだが、シケインは簡略化のために省かれている。 ウマ娘にとってはタイトなコーナーが多く、不慣れな状態でのクリアは困難。 SS(雑多) + カップル割的なのやろうとして喫茶店じゃなくてマ○クぽくなったやつ(2024/9/9) 「それでは、割引適応後のお会計が✕✕✕✕円になります!」 「そーいえば、この店のクーポンあったんだね」 『いや、何かしらのイベントでの割引らしい。 俺も知らなかったが、結果として安く済んだしいいじゃないか』 「まーね。…ヒトが多くてケッコー並んだけどね。早くついたからまだマシだったけど、今もう店の外まで並んでるじゃん。オーナーの芋ソースちょーだい」 『芋って言うなポテトって言え。あとレッカには辛いかもしれないから気を付けろ。 …そうだな、今日は信号に恵まれた。一度も赤に引っ掛からなかったのは珍しいな』 「ねー。うーん…ギリいけるレベルだね…あっ後から辛っ。 あった、これだ。この〈カップル15%・ペア10%割〉ってヤツ」 『どれ……なるほど、2人組だったからペア要件を満たし、割引が適応されたのか』 「割引率はカップルの方が高いみたいだけどね。ドーリで男女ペアが多いわけだ。よく食べる人とかだと5%オフでもぼちぼち大きいし」 『結果的に集客は大成功、利益が見込めるなら今後もまた時折やるだろうな。正直、不粋な話ではあるが。 …ん?今回の会計、カップル割の方が適応されているな』 「ホントだ、割引額的にカップル割の方じゃん笑える」 『となると、傍目には俺達はカップルに見えたって訳だ。 そのソースすら辛いって言ってるお子さまなのにな、ハハハ』 「辛いのは関係ないし、実際まだお子さまネンレーだっての! う…まだヒリヒリする…」 育成ストーリー プロローグ + Lap.1 サーキット・ステイヤー Lap.1 サーキット・ステイヤー この日は雲一つない晴天の山梨。 「サーキットコースをウマ娘にも」のコンセプトで、コースをおおよそ3000mに縮小して作られた、芝のサーキットスタイルレース場「富士スピードレース場」。 担当ウマ娘を見つけられずにいたところを秋川理事長に命じられ、ここに集まるウマ娘達を視察しにきたのだが… 『凄い…!』 どのウマ娘も、アマチュアとは思えないような激戦を繰り広げている。 重賞を獲った中央のウマ娘に匹敵するであろう娘もちらほらおり、 観客こそ少ないが、その熱気は負けず劣らず、とても熱いものだ。 とある男性「失礼、少し良いだろうか」 『は、はい!』 「君が中央のトレセン学園から来たトレーナーだろうか」 『そうですが…』 「秋川さんから「トレーナーを1人視察に向かわせる」と連絡が来ていたので、もしかしてと思ってな」 『ああ、そうでしたか!』 聞けばこの人、このレース場のオーナーの1人だそう。 普段は別の仕事をしているが、時折こうしてレース場に赴き、才能のあるウマ娘に目星をつけているんだとか。 オーナー「次のレースは右回り1周、およそ3000mの長距離だ。」 『それって…』 「そう、普通のアマチュアでは到底スタミナが足りず、スパートする体力も残らない。」 中央のウマ娘だって3000なんて距離はスタミナ切れを起こしやすく、全力での完走すら難しい。 ましてやこうもコーナーが多いと、余分にスタミナがもっていかれる。 そう思いながらスタート地点を見ていると、とあるウマ娘に目を引かれた。 明らかに他の娘とは違う、何か特別なオーラの様なものを感じた。 「あなたも気付いたか。」 『…はい、何か凄い素質を感じます。』 レッドシグナルが全て消え、ウマ娘が一斉に走り出す。 直線の先にあるタイトな第一コーナー、殆どが外側に膨らむ中、彼女だけは大きな膨らみをせずに抜けていった。 『(凄い体幹だ…!)』 その後も多々あるコーナーを涼しい顔で抜けていく。 他の娘は必死でコーナーを抜けている中、彼女だけが何の問題も無いかの様に少し減速し、 その顔に疲れの表情は見られず、むしろ… 『楽しそう…』 「彼女は、周囲にはスプリンターだと公言しているが、それは恐らく違う。 俺の見立てでは、彼女のスタミナなら3400mまで走れる。生粋のステイヤーだ。 …しかし、一般的な中距離以上のレースだと彼女は垂れるかの様に途端に減速してしまう。 恐らくは心的なものだが、余計な詮索は彼女に負担をかける。本人が話したくない以上はどうしようもない。」 『なるほど…』 レースも終盤、4連コーナーの1つ目に差しかかっても未だ涼しい顔で垂れる気配すらない。他の垂れてきたウマ娘を横目に抜き去り、少しずつ順位を上げていく。 確かに、これだけの距離を走れるのにスプリンターというのはおかしい。何か事情が…? 「しかし、スプリンターと公言している事に強力な裏付けが出来てしまっているのも事実なんだ。」 『え?』 「もうすぐ分かる。彼女の本領が発揮されるのは、 …最終コーナーを抜けてからだ。」 そういうとオーナーはストップウォッチを押し、カウントを始めた。 位置は最終コーナー手前、他は全員スタミナ切れで後方、既に先頭に出ている彼女はさっきよりも少し早い速度で最終コーナーに突入する。 『(この速度じゃコースアウトに…!)』 …しかし、彼女は負けなかった。 コースアウトギリギリまで膨らんだものの、その速さを維持しながら最終コーナーを抜けていった。 そのままぐんぐん速度を伸ばしながら、最終直線に突入していく。 その末脚はとても力強く、まるで短距離走のスパートの様な… 「彼女の一番の強みは、あの末脚だ。 ステイヤーにも関わらず、最終直線でスプリンター並の末脚を発揮できる。 スタミナがかなり多いのは間違いないが、あの速度は他のステイヤーには到底出せない。 それこそ、彼女がスプリンターを自称しながらも疑われていない理由なんだ。」 残り300m、加速は留まる事を知らない。限界を感じさせない走りを見せつけ、そのままゴールイン。 一着だった事、そして大差勝ちだった事は言うまでもなく。 速度を落としながら、私達の席の近くまで寄ってきた。 一着のウマ娘「…オーナー!3ハロンのタイム!」 オーナー「35秒5!また良くなったな!」 スポーツドリンクを彼女に向かって投げるオーナー。 うまくキャッチして、それを飲みながらVサインをオーナーに向ける彼女。 オーナーと彼女の関係の良さが伺える。 「このコースだと、上がり3ハロンの最初にキツいコーナーが入るからタイムは稼ぎづらい。 しかし、それでも上がり3ハロンのタイムの更新を繰り返している。 まったく、天才というのは見ていて退屈しないよ。」 『彼女は、一体…』 「サーキットコースでしか記録を残さず、公式レースに興味を示さない異質な天才。 …名前はスイセイレッカ。 本人は気に入ってないみたいだが、みんなからは 「サーキット・ステイヤー」なんて呼ばれているよ。」 + Lap.2 ランニング・スタイル Lap.2 ランニング・スタイル 夕陽差し込む、トレセン学園の資料室。 サーキットコースに君臨する青い彗星、スイセイレッカが走ったレースに関する情報を求め、ここに来た。 というのも先日… ────────────────────── 『そういえば、どうして中距離以上だと垂れるって分かったんです?』 オーナー「以前、京都レース場でURA主催のイベントがあった時にな。 一般向けにコースが解放されると聞いていたから、レッカを連れて一度2400を走らせてみたんだ。」 『…小学生ですよね?』 「ああ。周囲の子は皆中学生で、少し浮いていたよ。 今考えると、中々無い経験だったから舞い上がっていたんだろうな。俺も、レッカも。」 ────────────────────── と言っていたので、ダメ元でその時の記録を探している。 URA主催のイベントなら、その時の情報が何かしら残っているかもしれない、と考えていた。 …のだが… 「(やっぱり無いか…)」 それはそうだ。あくまで一般向けのイベントだ。 わざわざそのイベントのレース記録を保存する事はないだろう。 資料を片付け、トレーナー室へ戻ろうとしたその時、ピンク色の髪をしたウマ娘と遭遇した。 「あれ、もしかしてトレーナーさんですか?」 『君はたしか、アグネスデジタル?』 「はい、アグネスデジタルです!覚えていてくれたとは!」 自称どこにでもいるウマ娘、その実態はありとあらゆるウマ娘を「推し活」として観察しているウマ娘、アグネスデジタル。 以前ウマ娘をスカウトしようと声をかけていた時、偶然近くで推し活をしていた彼女と遭遇し、何度か話をした事があった。 デジタル「それで、今日はどうしてここへ?」 『うん、ちょっと探し物をね。 少し前のイベントで催された模擬レースの記録を探しにきたんだ。』 「そのイベントって、どこで開かれたイベントです?」 『京都レース場だよ。一般向けに開いたイベントの記録だからダメ元だったけどね。』 「…あの~、私、そのイベントだったらレース結果の記録ありますよ…?」 『ホントに!?』 「はっはい!ウマ娘ちゃん居るトコデジたん在りです!少々お時間を!」 一息ついたのもつかの間、早歩きで戻ってきたアグネスデジタルが持ってきてくれた資料に目を通す。 そこには、確かに「2400m スイセイレッカ 11着 ハナ」との記載があった。 「スイセイレッカちゃんですか?」 『うん、この前富士スピードレース場に行った時に会ったんだ。 何か知っているの?』 「はい、中学生に混じって負けず劣らずのレースをしていたので覚えています。 最後に垂れちゃったのが惜しいですが、小学生にしては物凄いスタミナですよ」 アグネスデジタルもスタミナ切れだと考えているらしい。 現役のウマ娘にもそう見えるという事は、やはり何かが… 『彼女、その時もう3000mをギリギリ走れたんだって。』 「えぇ!?小学生で3000m!? ステイヤー路線の娘だってその距離を走るのは一筋縄ではいかないのに…」 『…ねぇ、映像記録はあったりする?』 「映像記録ですか?流石に私もそこまでは… …あっ、でも一緒にいたシャカールさんなら持ってるかも! ちょっと聞いてきますね~!」 ドタバタとアグネスデジタルが駆け出し、再び静かになった資料室。 貰った資料に再び目を通しつつ、オーナーとの会話を思い返す。 ────────────────────── 『…その模擬レースで、減速してしまった?』 「終盤に入る少し手前でな。 それまでは中学生相手にも良い走りをしていたんだが、糸がプツッと切れるようにペースを崩していた。 その後何とか完走したが、結果は11位。12人立てだったからほぼ最下位だ。」 『(完走はしたんだ…)』 「帰りの車で理由を聞いたんだが、「言いたくない」の一点張りでな。 その頃は既に富士スピードレース場(ここ)を何とか完走出来ていたから、スタミナが足りない訳ではないハズなんだ。 慣れないコースでスタミナを無駄に浪費したか、あるいは彼女が言いたがらない何かしら、もしくはその両方が原因ではないかと、俺は思ってる。」 ────────────────────── 「よォ、アンタが模擬レースの映像データ欲しいってヤツかァ?」 『君は?』 「アンタが欲しがってるデータの持ち主だ」 少しぶっきらぼうな言葉が、自分の思考を現実に引き戻す。 欲しがってるデータの持ち主という事は、彼女が… 「お待たせしました!この人がエアシャカールさんです! お尋ねしたところ、スイセイレッカちゃんの映像だけ残してあったそうなので!」 「フン、運が良かったなァトレーナーさんよォ」 『ありがとう…!』 エアシャカールが持参したパソコンを立ち上げ、動画ファイルを再生する。 両脇から私とアグネスデジタルが覗く形で、小さな鑑賞会が始まった。 ゲートが開き、模擬レースが始まる。 出遅れもなくスイセイレッカの出だしは順調、最初のコーナーで差しの様に後方に控えている。 …と思ったら、コーナーの半分ぐらいで進出を始め、そのまま一番前に抜け出た。 彼女の脚質は逃げなのか…?いや、序盤を見るに差し…? 理由の分からないポジション変更で、脚質が見定められない。 中盤に入る。スイセイレッカは未だ先頭、しかし後続も追いすがる。 ここまでは乱れやかかりもなく順調そうだが… 「…正直言うとなァ、コイツの走りにはオレも何か引っ掛かってんだ。 アンタも気付いただろうが、このポジション変更自体がまず普通じゃねェ。 それに、中盤までを見るにスタミナは十分そうなのに、何故か垂れる直前にはもう息切らしてやがった。 あの垂れ方はロジカルじゃねェ、スタミナ切れとは別の原因があるとオレは考えてる。 だが肝心の原因が分からねェ…」 動画は進み、問題の終盤手前まできた。 ハナを進んでいたスイセイレッカだったが、突然急な減速を起こした。 垂れる直前までは特に問題もなく、寧ろかなり良いペースで走っていたのだが… 「この垂れ方、適性距離の分かってねェ素人がよくする、至って普通のスタミナ切れだ。 俺の現状の推論だと、コイツは確かに実力はあるが、距離適性がもっと短けェ。精々マイラー、下手するとスプリンター程度だ。」 そんなはずはない。…とは言い切れないが、あのコースを走りきれている辺り、長距離に適性が無いとは考えにくい。 『あのコースよりは短いんだけどなぁ…』 「あのコース…?おいお前、何か隠してンな!?」 「落ちついて下さいシャカールさん! 彼女、スイセイレッカちゃんは日常的に3000mコースを走っているらしいんですよ!」 「3000!?おいおい嘘だろ?証拠はあんのか?」 『えっと…観客席から撮った映像だけど…』 「貸せ!…ああもう小せェ!」 …エアシャカールにウマホをぶん取られ、彼女のパソコンと接続、流れるように動画をコピーされた。 ウマホは返されたが、そのまま鑑賞会の第二部が始まった。 ────────────────────── 🕑 ────────────────────── 「嘘だろ…ありゃあ何だ、ウマ娘の体をとったバケモンか…? いやバケモンなんて表現はロジカルじゃねェ、だがコイツが俗に言う天才って奴なのは確かだ… あァクソ!オレの努力を一瞬で飛び抜けやがって!」 エアシャカールの言う通り、彼女…スイセイレッカは他に類を見ないレベルの天才だろう。それ程にこの娘の走りは凄かった、見る物を圧倒させる何かがある。 『でも、ならどうして失速を…』 「あのぉ~…」 「あァ?」 「垂れる原因と直接は関係ないかもですけど… この動画でのレッカちゃんの走りを見ていて思ったんですが、全部の直線でスパートみたいな速度の出し方してません?」 「どういう意味だ?」 「直線でのレッカちゃんの走り方が、マイラーやスプリンターがスパートする時の走り方に似ているんですよ。」 改めて確認すると、アグネスデジタルの言った通りだった。 サーキットコースでのスイセイレッカの走り方は「直線はスパートの様な全開で走り、コーナーに入る直前で減速し、コーナーで脚をためる」という動作を繰り返す、普段は決して見かける事のないものだった。 「なるほど、まずもって普通の走り方じゃねェって事か…」 「あくまで多分ですけど、このコース、最初と最後以外の直線は長くても200m程度ですよね。 なので、スパートをかけても十分にスピードを稼せないし、スタミナもそこまで消費しない。 寧ろスパートする気でないとコーナーからの立ち上がりで遅れをとる… キツいコーナーが多いコースに適応したからこそ、こういった特殊な走り方なんだと思います…ハイ。」 「普通のコースだとカーブが大きいからスピードも落ちねェし、本来そこで溜めるハズだった脚が溜められねェ。 それが無駄にスタミナをロスする原因になった、って事かァ…?」 『なら、彼女が垂れたのはやっぱりスタミナ切れ…』 「早合点するな、その仮説が一番可能性が高いだけであって確定じゃねェ。 だが…もし、その仮説が正しいとするならば、オレもParcaeも専門外だ。 その走り方はウマ娘じゃねェ、 『クルマ』と同じだ。 …おい、もしコイツにトゥインクル・シリーズを走らせたいなら、一般コースの走法を一から叩き込め。 そうでもしないと、せっかくの才能を腐らせる事になる。 勝てるもんも勝てねェぞ。」 ────────────────────── 二人に礼を言い、自分の寮へと帰る。 風呂に入り、夕飯も軽く済ませ、床に入る。 『…疲れた。』 …彼女の為に、自分には何が出来るだろうか。 そんな事を考える程に、私は彼女の走りに惚れているんだろう。 様々な考えが浮かんでは消え、消えてはまた浮かぶ。 そんな中でも、ある一つだけは、ずっと大きく浮かんでいた。 …彼女が、既にサーキットを走るのに完成されているのなら。 彼女が、「レースをする事」ではなく「富士スピードレース場(あそこ)で走る事」を楽しんでいるのなら。 …それを作り直してまでトゥインクル・シリーズを走らせる事が、彼女にとっての幸せなのだろうか。 + Lap.3 レーシング・プロフェッサー Lap.3 レーシング・プロフェッサー 「レッカの走りが車のそれ、か。」 『はい。』 小雨降る富士スピードレース場。 自分の中で満足のいく答えはまだ出ない。 迷いを胸に押し込みつつ、今日もここへスイセイレッカの走りを見に来たのだった。 「よく、それを見抜いたな。」 『…というと?』 「彼女に、車の走りを教えたのは俺だ。 《銀色の流星に追い抜かれた、追い付ける位速くなりたい。》といって、数年前にここに来たのを今でも覚えているよ。」 ウマ娘がレースをする理由として、種族本能的な何かが大きく影響していると一説では考えられているが、それ以外にもレース観戦といった場で「自分もレースで勝ちたい」というミームが遺伝していくから、という一説もある。 自身と同種族である「レースで勝つウマ娘」に憧れを抱き、自身の目標と認識するといったものだ。 「速くなりたいならそういった教室に通うと良い、ここはただのコースだとは言ったんだが、 《パパが言ってた、ここのオーナーなら速く走る方法を知ってる、って。》 としぶとくてな。仕方なく受け入れたんだが、生憎と俺はウマ娘のレースに関する知識は独学だ。」 『そうなんですか?』 「ああ。俺はただ、ウマ娘の為のサーキットコースを用意してやりたかっただけだ。 一応トレーナー資格こそ持っているが、レースに関してはどうしても経験を積んだトレーナーには劣るさ。」 トレーナー資格の取得試験は、ウマ娘の体調管理や身体管理に重きをおいたものになっている。その為、レースに関する知識が多少疎くとも、合格する人はごく少数だが存在するらしい。 「それで、サーキットを走る車の映像を何度も見せて、大まかに真似て走るように指示したんだ。」 『車の走り方をウマ娘にですか?流石に無理があるんじゃ…』 「いや、コーナーの侵入速度・ライン取り・コーナー脱出時の加速タイミング。動力こそ違うが、どちらもハイスピードなレースである以上は生かせる部分も多いはずだ。 言葉で伝えられるところは言葉で教え、伝えるのが難しいところは、スピードウェイ(車用のコース)で俺の車のナビシートに座らせて実演したりもした。 教えた知識を貪欲に吸収して成長していくものだから、こちらも段々と楽しくなってね。 俺の持ちうるロードレースの知識をどんどん教えていったんだ。」 …だが、スイセイレッカは「レースで勝つウマ娘」よりも先に「自身を抜き去る流星」に憧れを抱いてしまった。 流星は星であり、ウマ娘ではない。 故に彼女の走り方も、ウマ娘のものである必要はないのだ。 「その結果がアレだ。 雨で蹄鉄の食い付きが悪く滑る状況でも、何の問題もなくコーナーをクリアしていく。 俺が彼女に教えた「路面」でのコーナーテクニックを、彼女自身が「芝」に応用して走っている。 あれはあれで、一つの走法として確立されたと言っても過言ではないだろう。」 第10コーナーに突入するスイセイレッカ。 普段と違って雨天で芝が滑り、うまく食いつかない。 しかし、手前で急に減速し、迷いもなく脚を滑らせる。 そのままコーナーに侵入し、適度に加速しながら丁度いいラインを滑っていく。 そのままコーナーを抜けると、再びスピードを上げていった。 決して届く事のない速さへの憧れ、オーナーの車に準じた指導方針、そしてそれを容易く取り込み改良するスイセイレッカの吸収力。 そうした要因が重なった結果、この普通では考えられない走り方へと発展していったのだ。 卓越した技術に魅せられ、内に秘めた夢が強く沸き上がる。 ウマ娘の事を第一に考えるのがトレーナーである。時にキツく当たる必要こそあれど、基本的にはウマ娘の意思を尊重すべきだ。 それでも、私は─ 「(彼女と共に、栄光の舞台へ登りたい…!)」 そう思わずにはいられなかった。 ターフ横に降り、タイムトライアルを終えた彼女に声をかける。 『こんにちは。』 「……?」 無視されている…訳ではなさそうだが、困惑しているのは確かだろう。 「レッカ、お疲れ。ほら、脱水起こす前に飲んでおけ。」 「ありがと。…この人、誰?昔の知り合い?」 「いや、この人は中央のトレセン学園のトレーナーだ。 この間もいただろう?その時は話さなかったが。」 「うーん…横に誰かいたのは覚えてるけど…。 中央のトレセン…ああ、東京のアレね。」 『改めて、こんにちは。』 「…どうも。」 『君は…どうしてここで走ってるの?』 「…ここ、家から一番近いし。速くなりたいから。…です。」 『畏まらなくていいよ。 …単刀直入に聞くよ、中央のレースで走ってみない?』 まずは、彼女の意思を確認したい。 理事長にも許可は取ってある。もし、彼女が乗り気であるならば、このまま中央の試験を受けて貰い、スカウトしても良いかもしれない。 「とーとつ、ね。どうして?」 『君の実力なら、重賞だって…いや、G1だって獲れる。 それだけのポテンシャルを君なら持ってる。どうかな?』 「賞…?獲れる…? そこ、「速くなる」ためのトコ?それとも「勝つ」ためのトコ?」 『えっ?』 「勝ちにはそんなに興味ない。ウマ娘じゃないから、私の夢。 ウマ娘なんかじゃ絶対に敵わない。けど夢なの、追いつくのが。その為に走ってるだけ。 その「ジュウショウ」?は分からないけど、勝ち負けってだけならどうでもいい。」 …なるほど。 『…トレセン学園では、勝つためにトレーニングをしているウマ娘が大半だと思う。中央だと尚更。』 「そう。なら私は興味な『だけど、 ただ走りたいからってだけでも良いと思う。 トレセン学園は、言っちゃえばレースで走るための学校。 走りながら目的を探してる子もいるし、理由とかは関係なく走ってもいいと思う。』 「…アナタの言いたい事は分かった。少し考えるからお返事はまた今度。 オーナー、さっきのタイムは?」 「◯分◯◯秒◯。ウェットコンディションだし、タイムが出ないのは仕方ないだろう。」 「そっか… 疲れた、今日はおわり。イベント始まるし。着替えてくる。」 「…断られたな。」 『ですね…でも、まずは知って貰えました。彼女の意思を大事にしたいので、1歩ずつ。』 「すっかり惚れ込んだ様子だな。まぁ、かくいう俺もその一人だが。 彼女の走りは、何かとてつもない可能性を感じさせる。」 『そうですね…。』 こちらを気にする事もなく、更衣室へ向かうスイセイレッカ。 スカウトには失敗した。だが、今日はそれでいい。 彼女の考え方を、走る理由を知れた。 まず1歩前進、それで今は充分だ。 『今日はありがとうございました。』 「また来るといい。俺もレッカもいつでもいる訳ではないが、連絡をくれればなるべく連れて向かおう。」 『わかりました。』 近くの駅から電車に乗り、府中へと帰る。 気付けば雨は止み、夕日が沈みかけている。 何者かに呼ばれるように空を見上げると、白い流星が輝き、瞬く間に飛び去っていった。 + Lap.4 テルツェット・プロローグ Lap.4 テルツェット・プロローグ あれからしばらくして、オーナーさんから連絡が入った。 スイセイレッカが「話があるから呼んでくれ」との事。 書類仕事も終わっている。私は手早く身支度を済ませ、いつもの場所へ向かった。 「急に呼び出してすまない。よく来てくれた」 『いえ、仕事はあらかた終わっていたので』 入口で出迎えてくれたオーナーと共に、レース場へと向かう。 レース場の横に出ると、スイセイレッカが待っていた。 「…待ってた。おひさ」 『お久し振り、スイセイレッカ』 ────────────────────── 「……」 「……」 『……』 ロビーのテーブルを囲んで座る。 暫く沈黙が続いたが、スイセイレッカがそれを破った。 「…こないだ、夢を見たの、私。 例の流星と、勝負する夢」 流星。 彼女の根源にして、彼女の指針。 「夢で見るという、白銀の流星か?」 「そう。 けどダメ、今回も勝てなかった。 おまけに余力も結構残してる。今のままだと一生勝てない」 彼女の夢の中がどういう環境、どういう状況なのかは分からない。 けど、彼女が勝てないという事はそれほどに強いのだろう。 「…けど、収穫もあった」 珈琲を飲むオーナーの手が止まる。 「走ってる途中、私の後ろからウマ娘が走ってきた。 理屈は分からない。けど、私に何かを託してくれた。そんな気がした。 そしたら脚が軽くなって、いつもより速く走れた。」 「…現状、レッカの最高速は66だ。それを超えるとなると、70程度か?」 「いや、さっき走った感じだとまだそこまで出ない。ただ、68が安定して出るようにはなった。 これを使いこなせるようになれば…いつか、80にも届くかもしれない。そんな気がする」 80…瞬間的にでも80キロを超えるウマ娘は、知る限りでは存在しない。 公式の記録に残っている最高時速は、一昔前にアイビスサマーダッシュでカルストンライトオが記録した73キロだったはず。 非公式とはいえ、68キロという記録が『安定して出る』スイセイレッカ。 …そういえば、去年のホープフルステークスの勝者、アンレシプロロードが70キロを記録したのが記憶に新しい。 「クラシック路線に進む」と豪語していた彼女がジュニア期に叩き出した、70キロという速度は大きな衝撃を残していた。 それにしても80キロ…まだ届かないとしても、夢が膨らむ話だ…! 「…聞いてる?」 『おっと、ゴメンゴメン。少し考え事を』 「そう。ならもう1回言うけど、アナタを呼んだ理由は2つ。 まず1つ目、アナタの知識を借りたい」 『というと?』 「さっき話した、夢の中のウマ娘。2人居たけど、どっちもシャレたカッコしてた。…勝負服、て言うんだっけ」 『うん、GⅠレースっていうレースに出走するウマ娘は勝負服を着てレースに挑むんだよ。 その勝負服は大抵オーダーメイド、1人1人の想いを込めてデザインされているんだ』 「違うデザイン、ね…なら、その服の色とかで誰か分かったりする?」 『うーん…完全には無理だけど、ある程度なら絞れると思うよ』 「なら…白、青緑、ベルト。これだけで、どの程度まで絞れる?」 白と青緑とベルト、かぁ…結構当てはまりそうだなぁ。 …いや、「白」と「青緑」?もしかして。 手持ちの雑誌から、とあるページを開いてスイセイレッカに見せる。 『その青緑って、こんな色だった?』 「! そ、そう、こんな色!」 彼女が少し興奮している。読みは当たったようだ。 『この青緑と白のカラーリングは、メジロのウマ娘に多いんだ。因みにこの子はメジロパーマー』 「メジロ…メジロね、他のメジロの写真ってないの?」 携帯を操作し、他のメジロの写真を見せる。 『この子がメジロマックイーン、この子がメジロブライト、この子がメジロドー「いた」…え?』 「この写真のコ。 夢に出てきたウマ娘、このメジロドーベル…?だ」 メジロドーベル。トリプルティアラ路線を進み、二冠を達成。その後エリザベス女王杯を2連覇したウマ娘。 『メジロドーベルが、夢の中に?』 「そう。トーゼンだけど会った事も見た事もない。 けど、このメジロドーベルが私の夢に出てきた。 …なるほど、やっぱトレセンか…」 『因みに、もう1人はどんな勝負服だったの?』 「緑、としか」 『えぇ…』 「だからそっちはいい。あのウマ娘はトレセンの、それが分かっただけでも十分。 アナタを呼んだ2つ目の理由、この前のお返事。」 『…!』 以前スカウトした時は保留と言われていたが、彼女はどういう決断をしたのだろうか。 「…私からも、お願いしたい」 『え?』 「さっきの話の続きになるけど、今のままだと一生勝てない。私は、あの流星に追い付きたい。 …トレセンから来たアナタと話した日の夜、流星の夢を見た。 あの夢の中で、メジロドーベルともう1人…トレセンのウマ娘が私に何かを託した。そして、もっと速く走れた。 無関係とは思えない。これは「トレセンに私がもっと速くなるための何かがある」って事だと、私は思ってる」 なるほど、彼女の目的は理解できた。けど… 『…確かに、トレセン学園には速く走る為のノウハウが色々ある。君の探す「何か」も、きっとある。 けど、集まるウマ娘は皆強い。1回も勝てずに退学するウマ娘も結構居る。 君と契約を結んだなら、君が勝てるように最大限の努力をする。だけど必ず勝てるとは限らない』 それでも。 『それでも、トレセン学園に来てレースをしたい? …ごめんね、誘ったのはこっちなのに厳しい事をいって』 心を落ち着けようと、珈琲を一口飲む。 ズココココ、と右正面から音が響く。 苦味が口に拡がり、段々と抜けていく頃、スイセイレッカが口を開いた。 ップハー「最終的に、流星に追い付けるならいい。 負けの5回や10回でへこたれる程、私は弱くない。 …いや、一旦ナーバスにはなるかも、うん。 けど…流星をブチ抜く為なら、やってやる」 『…分かった。君の覚悟、痛いほど感じたよ。 これからよろしく、スイセイレッカ』 「ん、よろしく」 空のコップに残った氷で遊ぶスイセイレッカ。 年相応な振舞いを見せる彼女、しかしその内に秘めた覚悟をひしひしと感じ取った。 「良い眼だな、レッカ。俺の経験上、そういった眼をした奴は目覚ましい成長を遂げていったよ」 「よく言うわ、人に夢を託しといて」 「ハハハッ」 「むぅ… こうなったら、オーナーにも私の夢を背負わせてやる。イチレンタクショー…?ってやつよ」 「ハハ、そりゃ参った。俺の夢の為にも、お前の夢をしっかり手伝ってやらないとな」 「…なんか負けた気がするけど、いいや。 そんじゃ、改めてよろしく、オーナー。 それとアナタ…何て呼んだらいい?」 『好きに呼んでいいよ。トレーナーとか、今まで通りアナタでもいいし』 「トレーナー…トレーナー…うーん… …!んじゃぁ、『トレス』」 『『トレス』?凄いシンプルだね』 「トレーナーの『トレ』、そして「uno」「dos」『tres』。 アナタは3人目。だから『トレス』」 なるほど。 1人のウマ娘に、1人のサポーター。 そして、1人のトレーナー。 『いい響きだね』 「うん。…きっと、いいテルツェット〈三重奏〉になる」 ────────────────────── 「おい、見ろよこの新聞」 「へぇー、彗星の嬢ちゃんもトレセン行くかぁ」 「子供ってのはいつの間にか成長してるもんだなぁ」 週一で発行されるローカル紙『フジヤマ新報』。 そのスポーツ面、そこには… 『サーキット・ステイヤー、トレセンの舞台へ!』 と比較的大きな見出し記事が。 この記事は、地元・山梨周辺のモータリゼーション界隈にも少なくない衝撃を与える事となった。 …そしてトレセン学園にも、そのニュースに心躍らせるウマ娘がいた。 「へぇ…アイツも来やがんのか。面白くなるぜ、こりゃあ」 + Lap.5 ナイト・グロウス・レイト Lap.5 ナイト・グロウス・レイト 正月も過ぎて暫く経ち、すっかり日常生活に戻ったトレセン学園。 『入学手続きの書類はこれで全てです』 「確かに受け取りました。これから頑張ってくださいね!」 『はい!』 スイセイレッカの親御さんから受け取った書類をたづなさんに渡す。 これで手続きはすべて完了。あとは入学を待つのみだ。 「それにしても、あのレース場にそれほどの子が…」 『行った事があるんですか?』 「ええ、理事長と過去に何度か。ですが、スイセイレッカさんと会ったことはありませんでした」 『いつも来ている訳ではないらしいので、タイミングが悪かったんですかね』 「もしくは、何らかの意図があって彼女を隠していたのか、それとも。 …いえ、安易な詮索はやめましょう。そういう偶然なんでしょうね」 理事長室を出て、自分のトレーナー室へと戻る。 自室に入ると、後方から陽光が差し込み、乱雑に置かれた資料の山が照らされる。 今はまだ、1人だけ。しかし…。 『…片付けるかぁ』 これからは2人…時折、3人で使うかもしれない部屋だ。 散らかっていては彼女達に申し訳ない。 重い腰をあげ、卓上の資料の選別を始める 『もしもし、中央トレセン学園の□□ですが…』 …のを後回しに、スイセイレッカがいるであろう富士のレース場へ電話をかける。 これは景気付けだ、「自分1人の部屋じゃない」と自覚するためだ、現実逃避じゃない。 そう自分に言い聞かせた。 「例のトレーナーから。書類が受理された、との連絡だ。 本来なら連絡の必要は無いらしいが、何を思ったのか掛けてきたそうだ。」 「…ジュ…リ?」 「ちゃんと受け取ってくれた、ということだ」 「…おっけー、わかった」 珈琲を一杯入れる。今日はキリマンジャロをセットした。 「これで晴れてトレセン生だな」 「そうなる、ね」 「不安か?」 「そりゃ…まぁ、うん。 新しい場所は少し怖い」 「ハハッ、そういうところは年相応だな」 「うっさいなぁ…うぇぇ、にっがい」 「そういうところもな。角砂糖でも出すか?」 「だしてぇ…」 ドリンクバー横の容器を覗くと、角砂糖は残り一個。 戸棚から「徳用ッ!角砂糖1kg」と書かれた袋から取り出し、容器に詰め替える。 …一瞬、トレセン学園の理事長が脳裏をよぎるが振り払う。 「新しい場所なんて、そうそう怖いものでもないさ。 例え敵地であっても、相手は走る事を愛する者同士。レースをしていれば自然と通じ合うものだ」 「なにそれ、ケーケンソクってやつ?」 「かもな。 峠でクルマを転がすも、芝の上で直接走るも、根本的には「レース」に変わりない。 であれば、俺の経験則も全くの無駄にはならないはずだ」 「そっか」 「…レッカ、小言を言うようだが、少しは他人を疑った方がいいぞ。そうホイホイと流されてるようだと少し心配になる」 「オーナー、顔に出るから。 …それに、オーナーだし。誰にでも誘導されるワケじゃない」 「それが嘘でなければいいが」 「それはそうとレッカ、俺からプレゼントがあるんだが」 「プレゼント?珍しいね」 「まぁな。ちょいと遅いがレッカの誕生日祝い、それとトレセン学園の合格祝いを兼ねて、といったところかな」 「それで、か…。こないだちょっと寂しかったんだからね?誕生日忘れたのかなーって」 「それはすまなかった。その分といってはアレだが、中身は期待していいぞ?」 自室の引出しから、綺麗にラッピングされた箱を取り出す。 レッカの座るテーブルに置くと、レッカがそわそわしだした。 「…これ、ここで開けていいやつ?」 「ああ。感想が聞きたい」 「わかった。 おぉ、おにぎり…!」 おにぎり、と彼女が呼ぶのはロータリーエンジンの内側、三角形のローター部分。 一昔前のとあるスポーツカーに搭載されており、現在では見掛ける事の少ない代物だ。 「古いツテを辿って、廃棄予定のロータリーエンジンが無いか探して貰ったんだ。 そのままだと流石に大きすぎるから加工こそしたが、正真正銘、本物のローターだ」 「凄い…! ん、真ん中に何か入ってる」 中央の蓋を開くと、そこには液晶の付いた、小さな三角形が入っている。 大きさこそ異なるが、これもローターを彷彿とさせるデザインだ。 「これ、ストップウォッチ?」 「そう。加工の時に出た余剰分を使って作ったオリジナルのストップウォッチだ。 普段使ってるやつ、結構キズが目立ってきてるだろう? …もっとも、市販品を解体して改良しただけのものだがな」 「それでも十分…!ありがとう…!」 「ここまでレッカが喜んでくれて嬉しいよ。 苦労した甲斐があったというものだ、友人にも伝えておくよ」 「うん…!大事にする…!」 「んー…んへへ…」 机に座り、貰ったストップウォッチを何度もながめる。 どうしても顔がくずれる。ダレも見てないからいいけど。 そっちに注意がいってて、私が座るより前に置いてあったものにぶつかり、 がちゃん、と何かが落ちた。 「落としちゃった…こっちもオーナーにもらったやつなのに。 …この程度ならグルーガンでパテ埋めいけるか、うん。」 プラスチックだし、このくらいなら直すのもラクチン。 グルーガンもグルースティックも、スグ取り出せるトコにしまってある。 割れたモノのヒビ埋めも1回や2回じゃない、これがケーケンチってやつ。 「ふぁぁ…眠い、明日にしよう」 眠い。このまま直してもケガするかもだし、しなくても見た目が悪くなる。 落としたストップウォッチを机の上に置きなおして、布団に入る。 明日はフリー。カバーの割れは明日ゆっくり直そう。 「…2……3……5……7………11………13……… 17………23…………29……………… Crack my Clock Practice Running 完 夜、居酒屋にて。 「例の贈り物、レッカが凄い喜んでくれたよ。ありがとう」 「いいっていいって。元チームの仲じゃねぇか。 それに…スイセイレッカといったら、この界隈じゃちょっとした有名人だからな! アイツが喜んでくれたんなら、整備士冥利に尽きるぜ」 「整備士って今関係あるか?お前のは趣味が興じてやり始めた副業だろうに」 「ハハッ!違ぇねぇや!」 「そういえば、あのローターは何処から仕入れたんだ? 日本のロータリー搭載車は2012年以降発売されていないハズだ。 それなのに劣化もほぼ無く、ほぼ未使用といった状態だったが。 どこかのマニアが保管していたものでも買い取ったのか?」 「…ここだけの話に留めてくれるか?ちょいとワケ有りでな」 「? 分かった、法を侵した訳でないなら口を閉じよう」 「法は破ってねぇ…と思うんだが。多分、大丈夫だ。 …ぶっちゃけるとな、このローター、ある日突然「置いてあった」んだ」 「置いてあった?」 「ああ。朝始業準備してたら、作業台に梱包材でくるまれた何かがあってよ。 ちょいと怪しいとは思ったんだが、剥いてみたらなんとビックリ、ローターと手紙が1枚入ってたんだ。 サックリ読んだ感じ『モノホンだ、自由に使ってくれ』て書いてあった。確認したが、確かにモノホンだったぜ。 アンタから「ロータリーエンジンのローターで何かを作ってスイセイレッカに渡したい」なんて言われた何日か後の話だったし、遠慮なくソイツを使ったて訳だ」 「…その手紙、今度見せて貰えるか?」 「今度と言わずに今見るか?この話振ったらそういうと思って持ってきてたんだ」 「用意がいいな、助かる。今日は俺が奢ろう」 「へへっ、そりゃありがてぇ。ごっそさん」 熱燗を追加注文する友を横目に、受け取った手紙へ目を落とす。 「ったく、飲み過ぎだ」 「んぅぇ~…◯◯(オーナーの本名)~…今でもお前が一番だぁ~…Zzz」 「そりゃどうも。けどそのセリフ、シラフで言ってほしかったぜ」 タクシーのリアシートに酔いつぶれた友人を詰め、自分もナビシートに乗り込む。 ふと空を見上げると、一瞬流れ星が見えた。そんな気がした。 メインストーリー + Lap.1 ビギナーズ・ラック Lap.1 ビギナーズ・ラック 「とうとうこっちにも来やがったか、レッカ。 次はこっちを蹂躙する気か?」 「…そんなんじゃない。 もっと速くなるヒントを探しにきた、それだけ」 「ヘッ、相変わらず勝ち負けには興味ナシか。 そんなスタンスのヤツがここで勝てるのかねぇ?」 「だから、勝ち負けじゃないっての。 それを気にしてるプロロードはどうなの」 「おう、こちとらホープフルステークスってのを取ったぜ? どっかの"FRチビ"にサーキットで負かされた分、こっちで勝ち星あげねぇとなぁ?」 「…相変わらず口減らないね。 またサーキットで勝負する?"四駆ヤロー"」 4月の暮れ。 …トレーナー室に入って早々、大人しげなスイセイレッカが口喧嘩をしているのが目に入った。相手は… 「来たんだ、トレス」 「トレス?何だそりゃ」 「トレーナー。長いから、トレス。」 「って事ぁ…コイツがレッカのトレーナーか?」 ジュニア級ながらも最高時速70キロを記録し、ホープフルステークスを制したアンレシプロロードだ。 先日の皐月賞は落としてしまったが、そこまで気にしてはいないようだ。 『私のトレーナー室だからね…。 レッカ、もう友達が出来たの?』 「違う、サーキットからのクサレ縁。 プロロードは先にこっち来たの」 「随分雑だねぇ、まぁいいさ。 アタシはアンレシプロロード。こないだの皐月賞にも居ただろ?負けちまったけどな。 さっきコイツが言ったように、サーキット上がりってヤツだ。名前位は覚えときな」 『わかった、よろしく』 アンレシプロロードもサーキット出身のウマ娘だったとは。 レッカと対戦する事になるならば大きな脅威となるだろう。 「んじゃな、アタシもトレーニングがあるんでな」 『うん、頑張って』 「おうよ。…やっぱお前、少し面貸せ」 そう言われ、部屋の外に引っ張り出される。 「…挨拶ついでにイイコト教えてやる。 レッカの脇に手ぇ入れて持ち上げてみな。 アイツ、急に持ち上げると暴れるでもなく黙りこけるぜ。 …そんだけだ!邪魔したなぁ!ハッハッハァ!」 …まるで嵐のようなウマ娘だった。 「何、吹きこまれた?」 『大した事は話してないよ』 「…そう」 『それより、本当にいいの?君の実力なら三冠路線でも…』 「短距離って言ってるでしょ。 距離が短い方が速度域も高いし、最高速を追い求めるには都合がいい。 …勝つなら長距離だけど、勝ちに来てるワケじゃない。もっと速くなるヒントが欲しいだけ」 『分かった。短距離のレースを中心に出走して、少しずつヒントを集めよう。 私がレースをピックアップしていくから、その中からレッカが気になったレースに出走していこう。 勿論、ピックアップしていないレースでも気になったのがあったら遠慮なく言ってね。それに合わせた調整もするから。 そういう方針で良いかな?』 「オッケー。改めてよろしく、トレス」 『うん。改めてよろしく』 デビュー戦。スイセイレッカの希望により、短距離レースへの出走となった。 結果としては見事1着。なのだが… 「スリップした」 『え?』 「思ってたよりコースの感覚が違う。 サーキットより滑る、そのせいでコーナーでアウトに膨らんだ。 …少し感覚変えないとダメかも」 確かにコーナーで外ラチ側に膨らんでいた。 レッカのスピードならば曲がりきれず膨らむだろうとは思っていたが、そういった事情もあったのか…。 予定を修正して、こちらの芝コースに慣らす練習も追加しよう。 後はサーキットでのプラクティスの様子をオーナーと擦り合わせて状態を適時確認、今後を見据えた様々なパターンの出走計画、それから… …何はともあれ、メイクデビューは突破。 スイセイレッカの手掛かり探しは、ここからスタートだ。 戦績 メイクデビュー戦 1200m 1着 + SOT-J-R01:記録対象のレース中における心情記録Ⅰ SOT-J-R01:記録対象のレース中における心情記録Ⅰ 記録開始。 ガコンとゲートが開く。 いつもと違うスタート方式。 まだなれてない分、スタートの加速が遅れた。 …だけど。 『スイセイレッカ、最後方から驚異の加速! 一人また一人と追い抜いていく!』 ここはコース幅がバカみたいに大きい。 だからこんなに人がいてもアウトががら空き。 甘く見てたってワケじゃないけど、このくらいの相手ならカンタンに追い抜ける。 先頭のヤツを追い抜き、そのまま後続を少し突き放す。 スピードに乗ったまま、コーナーに突っ込む。 …この緩いコーナーなら、今の速度のままでも大丈夫。 インカットしなくても曲がり切れるでしょ。 そう思ってたけど… 「っ!?」 …曲がれない!?横Gにひっぱられる! 『スイセイレッカ、大外へ膨らんでいく!一体どうしたのか!』 くそっ!ここの芝、あのコースより食い付きが悪い! このスピードでアンダーはマズい、ヘタしたら外にぶつかる! やむを得ず、脚を止める。どうにかガードレール?にぶつからずにすんだ。 『どうにか外ラチ衝突は回避した様子。ですが、その間に再び最後尾に。どうするスイセイレッカ?』 タイヤの熱ダレってこんな感じなのかな…?なんてどうでもいい事を考えながら一息つく。 先頭から100mちょい、ゴールは800mくらい。 …まだ、負けてない! 『直線に入り、スイセイレッカが再び怒涛の追い上げを魅せる!ゴールに間に合うか!』 今回使う予定はなかった走法に切り替える。 脚へのダメージはあるけど、この距離なら持つ! 狙うは先頭!横は見るな! 300、2位を抜いた!後はハナを取り返す! 『残り200m、スイセイレッカ、先頭に追いつく!このまま追い抜けるのか!?』 100、並んだ!このままブチ抜く! 『ゴール!!1着はスイセイレッカ! 途中のアクシデントを乗り越え、デビュー戦を見事1着!』 どうにかいけた…! けど、酸素が…っ! 「ハッ…ハッ…ガハッ、ハッ! ハァッ…ハァッ…ハァ…」 どうにか落ち着いた。 …ふと、「お疲れ」という声が聞こえた…気がした。 その方向を向くと、オーナーがいた。なんかウデ組んでた。 「よくやったな、レッカ。」 「まぁね。…けど、コーナーで曲がりきれなかった。 そこはどうにかしないと」 「そうだな。それを含め、色々と今後の課題がある。 だが、何はともあれ1着だ。今はそれを誇れ」 「うん、ありがと。 …所で、タイヤが熱ダレしたらあんな感じ?」 「…アンダーステアの出方は大体あんな感じだ」 記録終了。 備考: 現時点で特記するような肉体異常はなし。 彼女の今後に期待する。 + Lap.2 グロップ・イン・フォグ Lap.2 グロップ・イン・フォグ 《アンレシプロロード1着!ダービーに続いてクラシック2冠!圧倒的なエキゾーストノートを競バ場全体に轟かせた!》 正式に担当になったスイセイレッカのデビュー戦から早半年。 レッカのサーキット時代のライバル、アンレシプロロードが戦い抜いたクラシック争奪戦は今日終結した。 アンレシプロロードが日本ダービー、菊花賞の2冠を見事勝ち取り、世代の代表に大きく名乗りを上げた。 皐月賞こそ落としてしまったが、これでも十分な成果だろう。 「クサってもプロロードはサーキット上がり、スタミナのスタートラインがこっちの娘とは比べものにならないでしょ。 長ければ長いほど強いよ、私よりは短いけど」 と、トレーナー室のソファに寝そべりながらレッカは語る。 出来れば、脚は降ろしてほしいんだけどなぁ… そういった視線を彼女に送り続けたが、真意が届く事はなかった。 『詳しいね』 「ダテに元ライバルしてないよ。 あと体格とトルク、デカくて重い体をあそこまで速く動かすパワーがバカ。 4WDって言い始めたヤツはよく見えてる、うん」 4WD…4輪駆動。力強く安定した走行性能を持つが、車体が大きく重くなりやすい駆動方式…なんだとか。 箇条書きにして挙げるとなるほど確かに、その特徴はアンレシプロロードの走りの特徴と一致する。 レッカが以前『四駆ヤロー』と呼んでいたのはこれに由来するのだろう。 『そういえば、レッカも前に『FR』って言われてたけど、それも何か関係あるあだ名なの?』 「ん?…あぁ、プロロードに言われた奴ね。 そう、プロロードが4WDならレッカはFRだねーって、スピードウェイの他の娘が」 『FR?』 「そ、FR。こっちも駆動方式の一つ。ステアが効くけど、雪道とかだとグリップ効かないの」 『へ、へぇ…』 いまいち要領を得ない。が、アンレシプロロードが4WDと車の駆動方式で呼ばれたように、スイセイレッカもまたFRという駆動方式のあだ名で呼ばれている事は分かった。 …後日調べておこう、レッカのトレーナーとして… そんなレッカのトレーニングは概ね順調だ。 …と言っても彼女の場合、走行フォームや位置取りに関しては既に完成されており、今はサーキットの感覚のままになっているスピード感覚の擦り合わせを重点的に行っている。 トレセンで1日走り、サーキットで1日走る。それを繰り返し、サーキットの感覚とURAコースの感覚を同時に蓄積させる。 そうする事で、感覚の違いをレッカに直接自覚させる事が出来る、と踏んでの指導だ。時間はかかるが、少しずつ確実に効果が表れるだろう。 アンレシプロロードもレッカの並走に協力してくれている。 「この角度のコーナーなら、どの程度で突っ込む?」 「このコーナーなら…マージン込みで大体この程度だ、付いてこい!」 「んっ…思ったより遅いね、もうちょいふめない?」 「マージン込みつったろ。スパートかけてるならまだしも、それ以外は抑えろ。 それに、競り合った状態でラインがブレると『斜行』っつう面倒なレギュに引っ掛かる事があんだ。レギュ違反ほどシラけるもんも無ぇだろ」 「ふーん…じゃガマンするかぁ…」 「もしくは、ハナから突き放しても楽かもな。斜行喰らっても後続に影響なきゃ違反取られねぇし、インカットし放題で速度もっと上げれるからなぁ」 本人達がどういった内容の話をしているのかは分からないが、こうしてレッカが誰かと話しているのを見るのはとても珍しい。そう感じる程に、普段彼女と遭遇する時は一人で居る事が多い。 クラス等で孤立していなければいいのだけど… 『そろそろ次のレースを決めない?』 「…レース?」 『うん。そろそろ感覚も掴めてきた頃だと思うし、一度実戦形式で確認しておいた方が良いと思うんだ。 …ところでアンレシプロロード、しれっと居るけど今日の練習はいいの?』 「今日は休みだ、ほっとけ。それより、レッカもアタシ以外と走ってねぇだろうし、ナマのレースでどこまで通用するか一度ぶつかるってのはアリだと思うぜ」 「…もうちょい言い方ないの?まちがってはないけど…」 《プロロードの意見もその通りだ。実戦に勝る経験も無いだろう》 レッカ、私、通話アプリで参加しているオーナーさん。 …それと、いつの間にか転がり込んでいたアンレシプロロード。 いつものメンバー+1人のミーティングが始まった。 『とりあえず、今候補として考えているレースは3つ』 レーススケジュールの一覧表を見せる。 『1つ目、京王杯ジュニアステークス。 東京1400のGⅡレースだけど、出走まで期間がもうない。出走枠自体は空いてるし、今のレッカでも多分苦戦しないと思うけど、調整期間が殆ど無いのがネックかな。 2つ目、朝日杯フューチュリティーステークス。 阪神1600のGⅠレースで、今のレッカでも問題ない距離だと思う。 クラシック戦線に進むウマ娘が多く出走するレースだね。 3つ目、阪神ジュベナイルフィリーズ。 こっちも阪神1600で条件の同じGⅠレースなんだけど、こっちは逆にティアラ戦線に進むウマ娘が多く出走する。 私が提案するのは今の3つだけど、他に気になるレースがあったらどんどん言ってね』 「おい、ホープフルはどうしたよ。 レッカなら距離長ぇ方が得意じゃねぇのか」 『それはそうなんだけど…』 「ワタシはトップスピードを上げたくてこっちに来た。だから距離は短い方がトップスピードは高いだろうしツゴーはいい。だから長めはナシ」 「トップスピードってお前…こっちの『勝ち』に興味はねぇのかよ」 「全くないワケじゃない。ただ、こっちでは重要じゃない」 「…ケッ、そうかよ。 飲みもん買ってくる、勝手にやってろ」 そう言って、アンレシプロロードは席を外していった。 …気まずい沈黙が続くが、画面越しの声がそれを破る。 《…レッカ、もう少しオブラートに包め。 お前の考え方を否定する気はないが、ここの生徒は概ね勝利を目的に在籍している。プロロードもその1人だろう。 勝利を軽んじる発言はなるべく控えた方がいい》 「…わかった」 原因の一端が見えた、気がする。 レースに対するスタンスが大きく解離している。 それ自体が悪い訳ではないが、少なくともそれが原因で他の娘との間に壁が出来ている可能性がある事は事実だろう。 『さっきの話の続きだけど、次のレースはどうする? 京王杯でも今なら滑り込みで間に合うし、朝日杯でも阪神JSでもそれに備えた準備は進めていくから大丈夫!』 「んー…相手も強い方が何かヒントありそうな気がする。カンだけど。 だから…そのアサヒハイ?かもう1つの方、どっちかかな」 『分かった。じゃあ、どっちにする? 朝日杯はクラシック戦線、阪神JFはティアラ戦線に進む娘が多いから、もしそういった路線に進みたいなら───』 「ない。クラシックもティアラも2キロとか2.4キロとかチュートハンパな距離のレースあるじゃん。ヒント探すには遅いし、実戦形式には短すぎてキライ。 だからどっちでもいい…コイントスで決める?」 『まぁ…それでもいいよ』 正直、かなり杜撰な決め方とは思う。だが、彼女がそれでいいと言った以上、私はレッカの決定を尊重する。 『…そのコインは?』 「昔拾った」 『誰かが落としたお金…?』 「お金じゃない、多分。少なくとも日本のじゃない」 何処からともなく取り出したコインの両面にテープを張り、片面に[アサヒ]、もう片面に[ジュベ]と書く。そしてインクが乾いたのを確認し、コインを弾き上げる。 カランカラン、とテーブルに響かせ、静止したコインは… 「アサヒ、だね」 『分かった、朝日杯FSの出走手続きを進めておく。 そこまでに可能な限りのトレーニングと擦り合わせはやっていこう』 「ん、わかった」 ミーティングも終わり、レッカが部屋を出て暫く。 扉をノックして入ってきたのは、先程出ていったアンレシプロロードだ。 「さっきぶりだな。レッカはどうした?」 『ミーティングがさっき終わって、もう駅にいると思う』 「そうか。 …さっきは悪かったな」 『気にしてないよ。アンレシプロロードでなくとも、あの反応をするウマ娘の方が多いと思う』 「プロロードでいい。長い付き合いになりそうだしな」 350のコーラが飛んでくる。この季節にしては少し珍しく、シュワっとした爽快感が心地良い。 「レッカの今後について、どう考えてる?言える範囲でいい」 『…1番優先するべきは、彼女の為になる事をする事だ。 今はまだ、目的の為に彼女自身が色々模索しているのを手伝う。その為の努力は惜しまない。 ただ、今後レッカは何か大きな問題に直面する。そんな気がする。 そうなった時、私が進むべきを照らせるようにしたい。』 「…その「問題にぶつかる」ってのは、根拠ありきの話か?」 『根拠って言える程のものじゃない。そんな気がするだけ』 …だけど、もしそうなった時に。 『もしそうなった時に、レッカの事を理解出来ていないと、道を照らす事が出来ない。 だから今は情報を集める。サーキットの事、カーレースの事、そしてレッカの事を。 そして、レッカが間違った道を歩かずに済むようにしたい』 「なるほど?お前の意思は分かった。協力してやる。 アイツにゃ勝手だが借りがあんだ。アイツのお陰で勝利に対して貪欲になれた。だからここまでこれたのかもしれねぇしな」 『ありがとう!助かるよ!』 「なに、アイツが腐るのを見たくねーだけだ」 再びコーラの蓋を開ける。 プシュッという音が、今度は少しばかり弱々しく響いた。 サイドストーリー + To:彗星ヨ、其ノ軌跡ヲ継イデユケ To:彗星ヨ、其ノ軌跡ヲ継イデユケ (時系列:Practice Running Lap.3 直後) 「…さっきの人、帰った?」 「今帰ったところだ。」 「悪い人じゃなさそう。」 「そうだな。」 「それじゃ、私も帰る。」 「家まで送るよ。今日予約していた人はレッカで最後だし、少し早いが締めるとしよう。」 「ありがと。」 休けい室とかの窓をしめて回る。終わった部屋から、オーナーが部屋の鍵をしめる。カンタンな手伝い、ってやつ。 そうして全部の部屋をしめ、オーナーの車に乗り込む。 ねんぴ?は悪いらしいけど、リミッターの上限が高い。より速く走れる。 普段そこまで回す事はない、けど速い事は良い事だ。 「なぁ、レッカ。」 「何?」 「さっきの話、決して悪い話ではないと思うが。」 「…あの人にも言ったけど、勝ちたいんじゃない。 速くなることが目的。そしたらなんか勝ってるだけ。」 「それはそうだが…レッカ、お前の走り方は車がベースになっている。それは分かるな?」 「うん。」 「だからこそ、本来ウマ娘がとる『ウマ娘の走り方』ってのを覚えてほしいとは思うんだ。 俺はウマ娘のレースにはそこまで詳しくない。だからこそ車の走り方をアレンジした独自の理論を教えてきたが… そこに本来ウマ娘が行うレースの技術が加われば、お前は更に速くなれる筈だ。」 「…そうなの?」 「ああ。」 …オーナーは頭がすごい回る。私はそんなに頭はよくない、少しポヤポヤする。 けど、言葉がまじめ。オーナーはウソは言わない。 「なんで速くなる?」 「理由としては2つある。 1つは、トレセン学園がウマ娘がレースをする為に建てられたような学校だからだ。 全国から選りすぐりのウマ娘が集まる。そしてそれらに指導するトレーナーも難関試験を突破している。 当然、『ウマ娘の走り方』についても俺より断然理解がある。 フォーム、ペース配分、息の入れ方。そういった部分のブラッシュアップが大いに見込める。」 「ぶらっしゅあっぷ?」 「より磨きがかかる…といえば伝わるか?」 「それなら…わかる。」 オーナーはあくまでクルマ乗り。私はあくまでウマ娘。ある程度同じことは出来ても、細かいところはけっこう違うのは知ってる。 確かに、その道のプロなら、私のやり方のムダを減らしてくれるかもしれない。もち…もち…なんだっけか。 「オーナー…なんだっけ、もちもちみたいなの…もち…もち…」 「餅は餅屋、か?」 「それ…うん」 もちはもちや。その通りかも。 「2つめは?」 「さっきも言ったが、トレセン学園には選りすぐりの強豪が集まる、言わばプロの世界だ。 そういった外の世界で競い、揉まれる事で良い刺激になり、結果的にそれがレッカのパフォーマンスの向上に繋がる、と考えている。」 「それはあるかも…多分。 …で?ホントにそれだけ?」 オーナーはウソはつかない。ウソはつかないけど、難しい言葉でポヤポヤさせて、その気にしてくる。そして、そういう時は大体なにかある。 「…流石だな。隠し事もお見通し、といったところか。」 「なんとなく。こーふん?してる時、難しい言葉をよく使う。」 「そうか。 …少し、聞いてくれるか?俺の個人的な話だ。レッカになら、心の内を話してしまっても良いと思ってる。」 「いいよ、聞いたげる。オーナーに頼られる事、中々ないし。」 「ありがとう。俺は─── ────────────────────── 久し振りに、いつもの夢だ。 近くに、遠くに、沢山の星。私は、見えない道の上に立っていて。 …いつもと同じように、すぐ横を白銀の流星が抜き去る。 いつもと同じ、何かが焼けるような、少しこげくさくて。けれど何故か、とても懐かしくて。そんな匂い。 抜かされてすぐ、こちらも走り始める。だけど全然追い付けない。 前を行く流星は、昔の私の全力より速い。何年かたった今でも、私より少し速い。 私だって、あのコースで練習してる。何年か前はすぐに突き離されてた。離されるペースが遅くなってるって事は、私は確実に速くなってはいる。けど、まだ届かない。 今だって全開で走ってるのに、差が縮まる様子はない。 (これでも…届かない…!) 前を行く流星に紫の炎が混ざり始めた。…もうすぐ急加速し、飛び去ってしまう。 (今回もダメか…) そう思った瞬間、後ろからいくつか星が迫ってくる。 黄色い火の玉みたい。私よりも速い。 走っている私の横を通り過ぎ、流星に向かって飛んでいく。 「…?」 脚が、軽い… 限界が、いつもより高くなった。直観だが、そんな気がする。 今なら…もっと近くまで…! 『宙断つ彗星は流星を逐いて Lv0』 速度が、普段のスパートを超えた。 差の開きが止まり、距離が縮まりはじめた。 時間はない…けど、ゆっくり近付いてる! 脚を動かせ。限界(レッドゾーン)はとうに超えてる、今更関係ない! ここは夢!スタミナ切れも、蹄鉄の摩耗もない! 溜め込むな、全部吐き出せ! 「ッらァァァァ!!!!」 炎が大きくなってきた。やっぱ間に合わない…! いや、まだ!ミリ秒でも残ってるなら少しでも拾って…! [ マ ダ マ ダ ネ ] 「…え?」 流星が飛び去る寸前。微かに、それでも確かに聞こえた。 追い付いたとは言えない距離。それでも何故か、はっきりと。 青紫の炎を纏い、加速する流星。今までが嘘のようにみるみる差が広がっていく。 ここには流星と私だけ。今のは私の声じゃない。…つまり、流星から聞こえた声。 頭がぐるぐるする。情報が整理出来ない。 「…ま、待って!」 ────────────────────── …柄にもなく、自分の声で目が覚めた。 天井に向かい、夢と同じように手が伸びていた。 「…」 今のは夢。だけど、あのスピード感覚は忘れようにも忘れられない。 こびり付いてしまった。頭に、そして脚に。 ギアを1段階上に切り替えるような、そんな感じ。 …けど。 「まだ…」 私はまだ、アレを使いこなせていない。 速くはなった。けど、まだ限界には届いていない。 もし、アレがトランスミッションの様なモノであるならば、恐らく更に上の段階もある。 それを使いこなせるようになれば。 …流星に手が、届くかもしれない。 ────────────────────── 「俺は、俺独自の理論を完成させたい。ロードレースの技術を改良した、ウマ娘の為の理論だ。 その理論でここに通うウマ娘の技術を養い、中央に対抗しうる技術を習得させる。そして、望む子がいるならばトゥインクルシリーズへ送り出す。」 「…バカみたいに途方もない夢。人の事言えないけど。」 「ハハッ、全くだ。あまりにも壮大な、俺の夢だ。 …ただ、この夢を現実にするには俺の知識だけでは足りない。 この理論の完成には、競技者の観点からのアプローチが必要だ。 俺はお前たちのようには走れない。己の脚で走るものでないと、欠点を見つける事は出来ないんだ。 レッカ。いや、スイセイレッカ。頼みがある。 俺の夢の、体現者になってくれないか。」 「…私が?」 「ああ。 自分で言うのもアレだが、レッカの走りは俺の指導によるものが大きい。つまりは、俺の理論に最も忠実な走り方なんだ。 レッカがトゥインクルシリーズを走り、より強い相手と勝負する事で、理論の欠点を洗い出す事ができる。 …そして、レッカならばその欠点を自ら改良し、進化させていく事ができる、と俺は考えている。」 「ずいぶんと私を買ってるのね。 けどいいの?私の考え方が混じった理論になっちゃうかもよ?」 「ああ、構わないさ。元より俺だけでは完成しないものだ。それに、ウマ娘の考え方が入った方がウマ娘のためのものとしては良いだろう?」 「…。」 「レッカ、お前には規格外の才能がある。その才能をここだけで終わらせず、もっと広い世界を見てきて欲しい。 そう思うのもまた、間違いなく俺の本心だ。それは分かってくれ。」 「…返事はまだ。少し考えさせて。」 「分かった。良い返事を期待している。」 ────────────────────── 「…足りない。」 私は、更なる速さが欲しい。 今のままでは、これ以上変わらない。これ以上上のギアは使えない。 これ以上、あの差は縮まらない。 「速くなる為のヒントが欲しい」と、私の欲(エンジン)が吹き上がる。 それに、今の速さはオーナーが教えてくれた。だからこそ。 「オーナーに何か返したい」と、私のかすかな良心が声を張る。 …最終目的は違うけど、どうやら私の心が求める過程は同じようだ。 「ふぁ…」 とはいえ、既に日こそ昇っているが、まだ早朝。 青い彗星は夢中の流星に惑わされ、再び意識を降下させる。 『宙断つ彗星は流星を逐いて( L v 0 ⇒ L v 1 )』のLvが上がった + 旅立のグリーンフラッグ オーナー「…それでは、娘さんをお預かりします」 母親「お願いします。レッカ、トレセンでも頑張ってね?」 スイセイレッカ「…うん、ぼちぼち」 母親「もうっこの子ったら…でも、レッカらしいわね」 父親「忘れ物は無いか?ウマホとかPCとかゲームとか持ったか?」 レッカ「持った持った、忘れる訳ない。…あ、充電ケーブルさしっぱだ」 父親「はぁ…待ってなさい」 オーナー「ハハッ、君の荷物は電子機器が多いな」 レッカ「ゲームは生命線。私にとっては走ると同義」 父親「持ってきたぞ、これでいいか?」 レッカ「…これで合ってる、ありがと」 父親「よし…行ってこい」 レッカ「アーライ(了解)」 荷物を平べったいトランクに詰め、助手席に乗り込む。 走り出す車の窓から身を乗りだし、手を振る。 レッカ「行ってくるねー」 母親「気をつけてねー!」 レッカ「月1以上で帰るねー」 母親「分かっt…え!?それってどうい…!」 涙も引っ込み、慌てた様子の母親を見て「フフっ」と笑いが溢れる。 オーナー「ドッキリも成功した、のかな」 レッカ「しんみりしたのは好きじゃない、もらい泣きしちゃう」 「にしたって、あのタイミングは少しばかり酷じゃないか?…ほら、君のLANEが鳴りっぱなしだ」 「想定内、というか計算づく。こうすれば必然的に連絡がくる。私も…正直、寂しいし」 「…君のそういう、年相応なところを見るのも珍しいな」 「そう?…まぁ、オーナーが言うならそうなのかな」 「さぁ、トレセンまで飛ばすぞ。手続きがどれだけかかるか分からないからな!」 …オーナーとの他愛もない会話が、私の寂しさを紛らわしてくれる。 富士5合目に、時折かかる雲のように。 コメント欄 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/gods/pages/1327.html
セイシボサツ(勢至菩薩) 仏教の菩薩の一つ。 アミダニョライ(阿弥陀如来)の知恵の部門を司る。 ニジュウゴボサツ(二十五菩薩)の一人。 サンジュウニチヒブツ(三十日秘仏)の一人。 密号は持輪金剛。 関連: ジュウラセツニョ (十羅刹女) 別名: マハースターマプラープタ マカーストハーマプラープタ ダイセイシボサツ (大勢至菩薩) ダイショウジンボサツ(2) (大精進菩薩) トクダイセイボサツ (得大勢菩薩) トクダイセイシボサツ (得大勢至菩薩)
https://w.atwiki.jp/gods/pages/94072.html
セイソウ(8)(成宗) 李氏朝鮮の王。 関連: イケイセイシ (懿敬世子、父) ニンスイタイヒ (仁粋大妃、母) キョウケイオウコウ (恭恵王后、妻) ハイヒインシ (廃妃尹氏、妻) テイケンオウコウ (貞顕王后、妻) キジンテイシ (貴人鄭氏、妻) キジンゲンシ (貴人厳氏、妻) キジンナンシ (貴人南氏、妻) エンザンクン (燕山君、息子) チュウソウ(2) (中宗、息子) 別名: ソンジョン ケツ(2) (娎) ヒョル(2) シャサンクン (乽山君) チャルサングン